こんにちは,修士2年の小原です.
今回,去年の9月からスイスのALSTOMにて参加しているインターンシップの内容について,簡単に記述しておきたいと思います.
ALSTOMは発電用タービンや高速電車を開発している会社であり,僕の部署では主に発電用ガスタービンの性能計算などを担っています.
僕は去年の10月より,とある国に建設計画中のガスタービンGT11N2-LBTUのプロジェクトに携わることになりました.
ガスタービンを用いた発電装置全体はパワートレインと呼ばれており,それを構成しているLow Pressure Compressor(燃料用低圧圧縮機),High Pressure Compressor(燃料用高圧圧縮機),GT Compressor(空気用圧縮機),Combustor(燃焼機),Generator(蓄電機)を全て繋げると40m以上の長さとなります.
燃料となるガスの圧力は最初は約1.1barですが,Low Pressure Compressorで約6.0barとなるまで,続いてHigh Pressure Compressorで約15.6barとなるまで圧縮されて,Combustorへ送られます.この際,1.2barの圧力損失があるので,Combustor内での圧力は約14.4barとなります.一方,空気はGT Compressorで大気圧(1.013bar)から14.4barとなるまで一気に圧縮されます.これらの圧縮されたガスと空気はCombustor内で混合燃焼され,その爆発力を利用してTurbineを回し,Turbineの回転力をGeneratorから電力として取り出します.
ガスタービンを建設するにあたっては,どれくらいの性能が保障できるのかを取引先に提示しなくてはならないのですが,その性能は初期条件や建設場所の周囲環境によって大きく異なってきます.そこで,様々な初期条件や周囲環境におけるガスタービンのパラメータをコンピュータで計算し,Total Power(発電電力),Efficiency(効率),Exhaust Temperature(排気温度),Exhaust Massflow(排出ガス質量),などの補正値のグラフを作成することが僕の仕事です.
パラメータ計算には,ExcelとALSTOMが独自に開発したALPEGという計算ソフトを使用しています.計算はとても複雑であり,1回の計算をするのにも時間を要しますが,その計算により得られるデータを一点一点繋げて,グラフを作成しています.
僕は元々,ガスタービンについてはほとんど無知でした.学部の授業で蒸気タービンについて少し学んだ程度で,インターンシップ開始前はかなり心配になっていましたが,会社にある豊富な資料と親切な上司からの説明によりガスタービンに関する知識も増え,有意義な研修を行うことができています.
僕のインターンシップ期間は1年間ですが,残りはあと1か月となってしまいました.悔いの残らないよう,残りの期間もがんばってきます.
なお,札幌には9月24日に帰る予定です.10月から復学しますので,研究室のみなさん,どうぞよろしくお願い致します.